第四区画

【放射能を理解してますか?】
■「原発の建屋の中は、全部の物が放射性物質に変
わってきます。物がすべて放射性物質になって、放
射線を出すようになるのです。」
これは金属等が放射化されるという意味だと思いま
す。確かに放射化されるという事はあります。ですが、
建屋の中のもの全てが放射性物質に変わるというの
は誤りです。
物質が放射能を持つには、放射性元素を含む必要
があります。金属が放射性を持つ元素に変われば放
射化された事になりますが、モノによっては殆ど放射
化が起きないものもあります。
また、一部のプラスチックなど放射線の照射によって
脆くなってしまうモノもありますが、放射化する物質は
あまりないです。
ですから、原子炉内構造物の交換工事の時は化学
除染と呼ばれる、化学薬品洗剤を混ぜた水を循環さ
せて炉内にこびりついた放射性物質を溶かして除去
し、原子炉本体の放射能を下げてから作業しています。
(公開資料より)
まぁ簡単に言えば、ポットの内部にこびり付いた水ア
カをクエン酸洗浄剤で洗うようなモノですね。
だからこそ、充分な放射性物質除去を行う事で、原
子炉施設の解体作業も可能になりますし、放射性廃棄
物の量もかなり少なくて済むんです。コンクリートなん
か殆ど放射化されていないので一般廃棄物として処
理できます。
また、原子炉格納容器の外側、コンクリート遮蔽の外
側に有るモノはまず放射化はしません。
なぜなら放射化するほどの放射線が存在しないか
らです。
「どんなに厚い鉄でも放射線が突き抜けるからで
す。」という記述もありますが、これも誤りです。
実際には原子炉内の核燃料がフルパワーで反応し
ている運転中でも原子炉本体金属による遮蔽、炉内の
水による中性子遮蔽、原子炉周囲にある生体遮蔽コン
クリートによる遮蔽、原子炉格納容器による金属遮蔽、
その更に外周のコンクリートによる遮蔽等によって、原
子炉建屋内の放射能もほとんど屋外と変わらないんで
す。
実際に見学に来られれば運転中の原子炉炉心上部
に立つことが出来ます。この見学の写真は良く出回っ
ているので見た事のある方もいるかと思いますが、つ
まりあの頂部ハッチのコンクリート遮蔽によって放射
線は充分遮られているんです。
放射線を浴びなければ放射化は起きません。従って
建屋内の物が全部放射性物質になっていくという事は
ないんです。
だいたい、放射線が全てを貫通してしまっていたら、
発電所周辺にも放射線が出てしまう事になりますが、
もちろんそんな事はありません。
実際発電所周辺に設置されている放射線測定器モ
ニタリングポストの測定値は自然量と変わらない数値
を示していますから。
そろそろ訂正するのも疲れてきましたが、次行きま
す。
■「原発を見学した人なら分かると思いますが、一
般の人が見学できるところは、とてもきれいにして
あって、職員も「きれいでしょう」と自慢そうに言
っていますが、それは当たり前なのです。きれいに
しておかないと放射能のホコリが飛んで危険です
から。」
もちろん一般見学者が歩くエリアは特に綺麗に掃除
していると思います。まぁ、確かに冗談抜きで見栄え
は重要ですから。
自宅にお客さんが来るときは念入りに掃除したりする
のと同じ事です。
ですが、綺麗にしておかないと放射能の埃が舞うと
いうのは誤りです。
基本的に放射線管理区域と言えども、普通のエリア
に放射性の埃が舞っているわけでは無いです。放射
性の埃の出るようなエリアは区画されますので(公開
資料より)、たとえ見学コースを外れても、放射性の埃
が溜まってる所なんかはまず無いです。
そうでなければ通常パトロールする人が毎日マスク
して歩かなければならなくなるじゃないですか?
それに見学エリアもそれ以外のエリアもみんな繋が
っています。他のエリアの埃が飛んでくる事だってあ
るわけです。
だから見学エリアだけが特に綺麗だというのはある
意味見栄えが良いという以外の意味は無いです。だ
いたいタービン発電機廻りなんかは空間が広大で、見
学個所だけ綺麗も何もあったもんじゃないんですが。
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■「放射能というのは蓄積します。いくら徴量でも
十年なら十年分が蓄積します。」
この話も評価が難しいところです。
内部被曝について言われているのであれば、外部
に排泄されないものは確かに蓄積されます。蓄積され
れば内部被曝測定の時にだんだん検出値が上がって
いくことになると思います。
ですが、現場で作業する事で放射線を浴びて、その
外部被曝による影響が蓄積するというのであればそれ
は誤りです。放射線を浴びたからといって、浴びた量
が蓄積されるわけではありません。
致死量に近い異常な被曝はともかくとして、通常の
作業で放射線を浴びたからと言って細胞が変質してし
まうわけでもありませんし、細胞が新陳代謝するのに
あわせて被曝した細胞は入れ替わります。
時間が経てば条件がクリアするので、時間を基準に
許容量が決まっているんだと思うんです。
というわけですが、ちょっと判断が難しいですね。
■「三日分とか、一週間分をいっぺんに浴びせなが
ら作業をさせるのです。これは絶対にやってはいけ
ない方法ですが、そうやって10分間なり20分間
なりの作業ができるのです。」
確かに明記されているとおり、絶対にやってはいけ
ない方法だと思います。
ですから先ほど話題に上った放射線アラームメータ
ーで一日の許容量を超過した作業が出来ないように
設定、管理されています。(広報資料より)
これは自動的に設定されるものですから、どうしたっ
て一日分以上の被曝をすれば例のアラームが鳴って
しまいます。
ですから、少なくとも現状では間違っても一週間分を
一日で浴びせて作業をする事は起こりえません。予
測線量がアラームメーターの最大値を超える作業計
画書は立案できません。許可もされません。もし誤っ
て許可されてもメーターがセット出来ないので管理区
域に入れず、物理的に作業を実施できません。
また、現在だって昔と同じ機器を点検しているわけ
ですが、その今の作業において、無謀な方法で作業
をしている事は見た事も聞いた事も無いです。
少なくとも現在はこんな方法の作業は絶対に無い
(システム的に実施できない)と言えると思います。
■「なぜ、原発を止めて修理しないのかと疑問に思
われるかもしれませんが、原発を一日止めると、何
億円もの損になりますから、電力会社は出来るだけ
止めないのです。放射能というのは非常に危険なも
のですが、企業というものは、人の命よりもお金な
のです。」
客観的に見て、なるべくプラントを停止しないという
のは間違いではないでしょう。停止となるとコストも勿
論ですが、マスコミ報道による攻撃対象にもなります
から。
ですから、停止せずに治せるなら停止せずに治した
いところでしょうが、上記のような事態となると、止める
と思います。
ある意味電力屋は堅いです。トータルで半端な修理
をして失敗したら効率が悪い、と言う事なら確実に治
る手段を取るものです。
また、放射線は確かにレベルによっては危険です。
危険だからこそ管理されているわけです。原子力発電
所関係者なら誰もがそれは承知しています。
ですが、人命より金が大事かといわれたら、決してそ
んな事は無いです。
すこし考えれば用意に想像がつくでしょう?
そんな強引な作業をして、万一事故が起きたら。人身
災害が起きたら。そちらの方が一大事ですよ。手続き
だって大変なんです。マスコミや地元や国への説明だ
って大変です。そんな無理は誰だってしたくないでし
ょう。
確かに放射線どうこうの問題も勿論ありますが、それ
以前に危険な作業は極力回避します。
人身事故発生の方がトータルで見てプラントに与え
る影響が大きいのですから、一般の作業で人命より金
が優先されると言う事は無いでしょう。
ただし、JCO のような緊急事態の時はまた話が別だ
と思いますが。
■「原発で初めて働く作業者に対し、放射線管理教
育を約五時間かけて行います。この教育の最大の目
的は、不安の解消のためです。原発が危険だとは一
切教えません。国の被曝線量で管理しているので、
絶対大丈夫なので安心して働きなさい、世間で原発
反対の人たちが、放射能でガンや白血病に冒される
と言っているが、あれは“マッカナ、オオウソ”で
ある、国が決めたことを守っていれば絶対に大丈夫
だと、五時間かけて洗脳します。」
これも随分偏った見解だと思います。
放射線管理教育というのは、放射線管理区域で作業
を行う場合に必要なルールを説明するものです。
例えば、管理区域にある線量についての標識の説
明や、廃棄物はどこにどのように分別して持っていけ
ばいいか、作業で出た排水はどこに捨てればいいか
等、作業をする上で必要な知識を教わるんです。
もちろん国際的な放射線の年間許容量や、アラーム
メーターの使い方や意味合いなども教わります。更に
作業中に注意することや、作業安全に関わる事などの
一般的なルールも教育されます。
というわけで、現場で標準的に必要になる知識を教
育しているものであって、決して「原子力発電所は安
全なんです。絶対安全です。心配ないです。」という事
を洗脳する場では無いと、受講した私自身は思いま
すが。
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■「みなさんから現場で働く人は不安に思っていな
いのかとよく聞かれますが、放射能の危険や被曝の
ことは一切知らされていませんから、不安だとは大
半の人は思っていません。」
これもそんな事はないと思います。
みんな致死量の放射線がどんなレベルなのか、どう
いう場所に長く居たら多く被曝してしまうのか、逆にど
こに居れば被曝を最小限に済ます事ができるのかを
知っています。
放射線に関する正しい知識を持っているので過剰な
心配をする必要がありません。
というわけで、不安を感じないというのは知らないか
ら感じないのではなく、正しく知っているから感じない
のだと思います。
ただ、中には国際的な基準値すら疑う人もいるでしょ
うから、そういう人は僅かな線量でも過剰に心配してい
るかもしれないですね。
私としては、発電所で被曝するレベルの線量ではガ
ンの発生率に有意な変化は見られないし、実際にアラ
ーム寸前まで被曝した時も特に体調も悪くならないで
すし、心配ないと思って日々の作業にあたっていま
す。
■「作業者全員が毎日被曝をする。それをいかに本
人や外部に知られないように処理するかが責任者
の仕事です。本人や外部に被曝の問題が漏れるよう
では、現場責任者は失格なのです。これが原発の現
場です。」
これが本当だとしたら、現場監督は全員悪人という事
になってしまいます。
これもまた誤解を招く話なので明言しておきますが、
被曝線量を誤魔化す事は出来ない体制が既に確立し
ています。
作業対象の放射線量は測定によって予めわかりま
すからその機器についてどれくらいの時間作業をし
たらどれくらいの被曝をしてしまうのかは事前に計算
できるんです。
そしてもし被曝している事を隠す為に、何らかの裏
工作を行ったとしても、被曝量が予め計算されていた
値から大幅に少なければ何らかの不正を行っている
事が即座にバレます。
予想と実情をチェックして、ウソがつけないようにな
っているんですよ。
ですから、不正に被曝を隠す事は不可能なわけで
す。優秀な監督ならその辺りの事情を知っていますか
ら、なおさら被曝を隠して自分の首を締めるような事は
しないでしょう。
というか、もう30 年以上も原子力発電所は運転され
ているんですよ。点検だってもう随分やってる。だから
どの作業でどれくらい被曝するのかなんてことはもう
わかりきっていて当然でしょう?
わかりきった上で、どこを改善すれば被曝量をより減
らせるのかについて探求しているわけです。それが線
量低減というものなんです。これは原子力以外の放射
線を扱う現場はどこでも同じだと思います。
もう一度書きますが、放射線に関する事にはウソは
つけないんです。
物理現象は正直だと言う事です。
特捜放射性ドキュメント企画
教えて! 美凪さんその3
実際使わないそうです
平成13 年11 月7 日17 時02 分、浜岡原子力発電
所1 号機で余熱除去系蒸気凝縮系配管曲がり部が
破断した事故がありました。
その後の調査で、配管内に水素ガスが溜まって、
これが急速な燃焼(というか素直に爆発ですね) をし
た事で配管が壊れたと推定されています。
この配管は元々通常時は使用しませんし、異常時
でもまず使う事が無い、かなりのレアケースの為に
存在するものです。撤去しても、他のシステムで代
替できるので、特に問題はないです。それどころか
最新のプラントでは「あんまり意味がない」という事で
元々付いて無かったりします。
というわけで、せっかくあっても使わない配管に意
味はありません。トラブルの元は潔く撤去するという
お話です。
ちなみに電力会社によって対応はいろいろあるよ
うで、バルブを増設して配管自体は残すところもある
そうです。撤去するにもお金がかかるので、弁を付
けるだけの方が安くて手っ取り早いのかもしれませ
んね。