第五区画

【事故の内容をご存知ですか?】
■「東京電力の福島第二原発で再循環ポンプがバラ
バラになった大事故」
これは有名な事故の事を言っているようですね。
3号機で正月に起きたものです。国際尺度でレベル
2という重大事象とされています。
確かにこれは大きなトラブルでした。
原子炉再循環ポンプの振動が大きくなり、警報発生
に至ったので停止して分解したところ、ポンプの軸受
けや羽が損傷していて、削れた部分が金属紛になっ
て炉内に流入したというものです。
ちなみにポンプの状況については解説図がネット上
にあります。
http://mext-atm.jst.go.jp/atomica/owa/fig_img?fig_path
=/images/02/02-07-02-08/07.gif
なんですが。羽根車の一部が欠けて枠の一部が擦
り切れたような状態を「バラバラ」と表現するのはどう
かと思います。知らない人が読んだら文字通りバラバ
ラの状態を想像してしまうでしょう。
また「大事故」という表現も後にご本人が書いておら
れますが、「受け取った人の印象が変わってくる表現」
です。この表現方法の件は別途後述します。
■「チェルノブイリの事故の時には、私はあまり驚
かなかったんですよ。原発を造っていて、そういう
事故が必ず起こると分かっていましたから。だから、
ああ、たまたまチェルノブイリで起きたと、たまた
ま日本ではなかったと思ったんです。」
さて、この話もおかしい点があります。
チェルノブイリの事故はプラント固有の構造(黒鉛減
速炉)と、故意に安全システムを切って不安定な低出
力運転を実施した為に発生したものです。
従って、「原発を造っていて、必ず起こると解ってい
た」というのは話の筋が違います。
そして「たまたま日本ではなかったと思った」という話
が整合しません。なぜなら、プラント構造の違いによっ
て、同じような事故は日本のプラントでは物理的に起
きようがないからです。
これはかなり周知されている話です。ネットで少々調
べれば分かる事です。
というわけで、この話もおかしいと思います。
■「関西電力の美浜原発で細管が破断した事故は、
放射能を直接に大気中や海へ大量に放出した大事
故でした。」
これも誤報です。
過去の記録を見れば解りますが、発電所敷地内外に
設置されている放射線監視装置の指示値は通常と変
化なく、外部に対する放射能の影響はありませんでし
た。
http://mext-atm.jst.go.jp/atomica/owa/display?opt=1&
term_no=02-07-02-04に事故概要記録がタイムテーブ
ル付きで解説されていますので、ぜひ確認していた
だきたいです。
また「大量に」という表現が非常に誤解を誘発するよ
うに使われていると思います。大量がどのくらいの量
なのか。それが明確に示されていません。
記録によれば環境への放射能放出量の評価結果は
「放射性希ガス約2.3E10ベクレル(約0.6 キュリー)、
放射性よう素:約3.4E8ベクレル( 約0.01キュリー)、液
体状の放射性物質:約7.E6ベクレル(約0.0002キュリ
ー)であり、これらの値は当発電所が定めた年間放出
管理目標値を十分に下回るものである。」とされ、「大
量」ではない事が結論付けられています。
また「環境放射線モニタリングの測定値によると今回
の事象に起因する有意な変化はなく、放出放射能に
よる周辺環境への影響は認められない」という事で
す。
■「この事故はECCS(緊急炉心冷却装置)を手動
で動かして原発を止めたという意味で、重大な事故
だったんです。」
これも誤りです。事象発生時、ECCS は自動起動して
います。
後の減圧操作時には確かにECCSの一つである減
圧系を手動で起動していますが、これはあくまでもあ
る程度事象が落ち着いてから、停止操作を行う上で起
動したもので、炉心の健全性の観点からは問題視する
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ものではないと思います。
■「ECCSは原発の安全を守るための最後の砦に当
たります。これが効かなかったらお終りです。だか
ら、ECCSを動かした美浜の事故というのは、一億
数千万人の人を乗せたバスが高速道路を100キロ
のスピードで走っているのに、ブレーキもきかない、
サイドブレーキもきかない、崖にぶつけてやっと止
めたというような大事故だった」
これも誤解を誘発する表現だと思います。ブレーキ
である原子炉自動停止はしましたし、サイドブレーキ
にあたるECCSも正常に動作しています。
「高速運転しているバスはエンジンが故障したので
自動的にブレーキがかかってエンジンが止まって停
車。サイドブレーキを引いて、完全に停車した。」とい
う表現が適切でしょう。
前述の崖にぶつけて止まったという表現は明らかに
誤った文章だと思います。普通バスを崖にぶつけて
止めたら乗客は無事では済みませんからね。
■「原子炉の中の放射能を含んだ水が海へ流れ出て、
炉が空焚きになる寸前だった」
これも誤りです。一次冷却水が二次冷却水系に漏れ
出したのは確かですが、海にまでは漏れていませ
ん。
また原子炉が自動停止していますから、空焚きには
なりません。火の消えたガス台の上でヤカンが空焚
きになることはないのと同じです。
ただ、原子炉は停止後も燃料の残留熱を冷やしてや
らなければならないので、引き続き冷却は必要ですが、
この点についてもECCS自動起動により炉水位は確保
されていたわけですから、やはり空焚きなる寸前という
事は無いです。
■「日本が誇る多重防護の安全弁が次々と効かなく
て、あと〇.七秒でチェルノブイリになるところだっ
た。」
確かに2台ある加圧器逃がし弁は開けられませんで
したが、きちんと当初の設計どおり、多重設計された
代替系で減圧処置を行って停止しています。
また、ECCSの自動起動は事態に応じて的確に実施
されました。更にこのシステムがダメだったとしても、
更なる予備系がちゃんとスタンバイされています。そ
のまた予備の手段もあります。
また、何を指して「チェルノブイリ」なのか不明確です
が、メルトダウンの事を言っているとして、メルトダウン
が起きても日本の原子炉には格納容器がありますの
で格納容器の無いチェルノブイリのように放射性物質
が建屋外に大量放出される事故にはまずなりませ
ん。
また「0.7秒」という数字の出典が不明です。何がどう
なったら「0.7秒でチェルノブイリ」なのかが不明です。
従って私もコメントのしようがありませんです。
■「たまたまベテランの職員が来ていて、自動停止
するはずが停止しなくて、その人がとっさの判断で
手動で止めて、世界を巻き込むような大事故に至ら
なかったのです。」
これも誤りです。前述のとおり、自動停止しているの
でとっさの判断の手動停止操作はありませんでした。
ちなみに運転操作や自動機器の動作状況は事象タ
イプライターに時間と共に打ち出されますので、トラブ
ルが終わった後にこのプリントアウトを確認すれば何
が自動で動いて、何を手動で動かして、その結果プラ
ントの状態がどうなったのかを確認する事が出来ます。
(公開記録より)
航空機のブラックボックスのようなモノが原発にもあ
るんですよ。
■「この事故は、二ミリくらいの細い配管について
いる触れ止め金具、何千本もある細管が振動で触れ
合わないようにしてある金具が設計通りに入って
いなかったのが原因でした。」
これはその通りです。私が見ても実に遺憾な施工
がされていたものだと思います。
(経済産業省資料より)
■「そのことが二十年近い何回もの定検でも見つか
らなかったんですから、定検のいい加減さがばれた
事故でもあった。」
これについては私もほぼ同意します。
なぜ最初の施工完了検査で見抜けなかったのか。
その後の定検でもカメラなどで確認していなかったの
か、そのあたりに疑問を感じます。
ですが、私はPWR 型の定検がどのように行われて
いるのか、当該個所の監視は可能なのか等、詳細が
わからないので、私としてはあまりコメントしようが無い
です。
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■「入らなければ切って捨てる、合わなければ引っ
張るという、設計者がまさかと思うようなことが、
現場では当たり前に行われている」
これについては、確かに美浜のトラブルで金具が変
に加工されていた痕跡があった事などから、全く無い
わけではないという認識を持っていますが、といって
当たりまえに行われているとは思えません。
どう考えてもレアケースだと思います。
実際、他のプラントの全てで同様の施工ミスが見つ
かったわけではありませんし。
一件をとりあげて、それが当たりまえだと言うのは言
い過ぎだと思います。
ただし、今後もこのような施工ミスが無いよう、万一あ
ったとしても検知できるような厳しいチェック体制で望
む必要性は感じました。
■「図面を引くときに、私が居た日立は〇.五mm
切り捨て、東芝と三菱は〇.五mm切上げ、日本原
研は〇.五mm切下げなんです。たった〇.五mmで
すが、百カ所も集まると大変な違いになるのです。
だから、数字も線も合っているのに合わなかったの
ですね。これではダメだということで、みんな作り
直させました。何しろ国の威信がかかっていますか
ら、お金は掛けるんです。」
これについては現場を見ていないのでなんとも言え
ないのですが。そんな事があったんでしょうか。
でも、メーカー独自の規格という奴は確かに存在す
るので、私としてもそんな事もあるかもしれないという
気はします。
で、もし現実にダメだったとしたら、恐らく作り直すで
しょうね。電力としても必要な性能を発揮できない設備
に金は出しませんので。
が、国の威信はあまり関係無い気がします。設備が
キチンと出来ていないと運転する電力が困るという事
だと思いますが。だいたい作り直すにしても国はお金
出してくれませんし。
■「どんなプラントの配管にも、あのような温度計
がついていますが、私はあんなに長いのは見たこと
がありません。おそらく施工した時に危ないと分か
っていた人がいたはずなんですね。でも、よその会
社のことだからほっとけばいい、自分の会社の責任
ではないと。」
これについても私の意見を挟む余地はないです。ノ
ーコメントです。
確かにそういうことがあったかもしれません。でも、こ
の話は「はずなんですね」という記述の通り、推測の域
を出ていないと思うのですがどうでしょうか。
■「動燃自体が電力会社からの出向で出来た寄せ集
めですが、メーカーも寄せ集めなんです。これでは
事故は起こるべくして起こる、事故が起きないほう
が不思議なんで、起こって当たり前なんです。」
確かに一つの企業だけで構成された団体ではない
ですから、いろいろ主義主張の違いもあると思いま
す。
でも、だからと言って、事故が起きない方が不思議か
と言われるとそうでもないと思います。
もしそういう話しだとすると、大規模ゼネコンで行わ
れているJV 工事なんか全部事故が起きない方が不思
議と言う事になってしまいます。
研究などでも複数の企業による共同研究なども行わ
れていて、成果をあげています。動燃の問題はもっと
別の所にあるような気がします。
■「普通の人にとって、「事故」というのと「事象」
というのとでは、とらえ方がまったく違います。こ
の国が事故を事象などと言い換えるような姑息な
ことをしているので、日本人には原発の事故の危機
感がほとんどないのです。」
これは「言い換える姑息な手段」を狙ったモノという
わけではなくて、ちゃんと経緯があるんです。実は原
発の事故レベルには定義があります。
1992年3月には国際的な尺度としてI
AEA が定めた
NES(
IInternational Nuclear Event Scale)の正式な導
入が各国に提案されていて、1992年8月から国内の
評価尺度もI
NES に切り替えて運用しているんです。
このINES の尺度は最近のニュースでも「〇+(ゼロプ
ラス)」とか「〇-(ゼロマイナス)」のように報道されて
いるので、皆さんご存知かもしれませんが、それぞれ
http://mext-atm.jst.go.jp/atomica/owa/fig_img?fig_path
=/images/11/11-01-04-01/01.gif
http://mext-atm.jst.go.jp/atomica/owa/fig_img?fig_path
=/images/11/11-01-04-01/02.gif
に示されています。
この国際評価で行くと、日本の原子力発電所の事故
と言われるものは殆どレベル2以下に入っているんで
す。
従って、今でも指針の英訳に則って、事故ではなく
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事象と呼ばれている場合が多いんですね。
また、この件については、作者が、『「事故」というのと
「事象」というのとでは、とらえ方がまったく違います。』
と言われているわけですが、同様に『大事故』という表
現が多用されている問題の文章にも同じ事が言える
と思います。
どちらも適正な表現をするべきでしょうね。
MOX(
使用開
JCO
燃料
反応
JCO
福島
特捜放射性ドキュメント企画
教えて! 美凪さんその4
既に海外でも使ってるんです
もっくす) 燃料は普通のウラン燃料にプ
ルトニウム酸化物を混ぜて作った核燃料です。も
う随分前に発電所に配達されていて、あとは原子
炉に入れるだけで使用できるのですが、
始直前に事故が起きたり、燃料データの改
竄( かいざん) が発覚したりして、事実上罰として
使用が許可されず、今は燃料プールに保管され
ています。
よくプルトニウムが入ってるから危険極まりない
という話を聞きますが、実際には今のウラン
だって運転を継続しているうちに燃料内部にプル
トニウムが出来ていて、しかもそれも一緒に
して出力の一部になっているんですよ。ウラン燃
料全体の出力の30% がプルトニウムによるものな
んです。
海外でも既に使用実績がありますし、事故と
プルサーマルに因果関係もないんですし、
県の地元町村では使用開始して良いですって言
ってるんですから、そろそろ使用を開始してもい
いんじゃないでしょうか。