第二区画

【現場をご存知ですか?】
以下本文は、原文の引用にコメントする形式で記述
していきます。
なお、自分でも読むのがうんざりするような長文と内
容なので、いくつかの区画に分割して途中に息抜きが
入ってますので、休み休み読むのが肩こりしなくてい
いと思います。
■「原発が毎日被曝者を生み、大変な差別をつくっ
ているものでもある」
放射線の線量の大小を無視して言えば、確かに毎
日被曝者を生んでいるというのは間違っていないと思
います。
ただし、致死量の被曝、広島や長崎の原爆による被
曝とはまったくレベルの違うものです。
これを言いますと、病院のレントゲン室も毎日被曝者
を出していると言えてしまいます。(放射線量はそち
らの方が高い場合も多々あります)
ですから、身体に影響が無いレベルの被曝につい
てこういった表現をするのはどうかと思います。
また、原発で作業をしたからと言って、必ず被曝する
という訳ではありません。原子炉建屋の中にも外部の
自然環境と同レベル程度の線量しかないエリアが
多々あります。(見学すれば一目瞭然です)
また差別については後程詳しい話があるのでここで
は割愛しますが、事の大小はともかく確かに存在する
と思いますので否定はしません。
実際、自分が「私は原発職員です。」と言って良い顔
をされる事は殆どありませんから。
自分としては現実に原子力発電所の安全性を確保
すべく日夜努力しているつもりなんですが、正直言っ
て風当たりは悪いです。
でも、もちろん差別をしないで扱ってくれる人も居ま
すので、被害者風を吹かせるつもりは無いです。
■「現場監督として長く働きましたから、原発の中
のことはほとんど知っています。」
さて、みなさん現場監督はどういった仕事をしている
かご存知でしょうか。
私が知る限り、監督は作業員が作業している状況を
見て、きちんと正しく仕事をしているか、安全上問題が
無いか、放射線被曝の程度はどのくらいか等を監視し
て、作業が正常に進行する事を管理する人だと思いま
す。
ですが、現場監督はあくまでも作業現場を見る人で
す。
ですから自分が担当した作業に関する作業は詳し
いでしょうし、私以上に実情を知っているかもしれませ
んが、専門外の作業についてはあまりご存知無いと思
います。
現場監督は現場作業の専門家で有るがゆえに、専
門以外の分野についてはそれほど詳しくない、プラン
ト局部的には詳しくても全般を通した見方をするのは
難しいポジションだと思います。
従って、「原発の中の事はほとんど知っています」と
いうのは少々言い過ぎでは無いかと思います。
実際、どう見ても放射線管理に関する記述には実情
に相違する部分が多く見受けられますので、そのあた
りを正確に表記すべきだと思います。
また、この場を借りて「私の場合」を明記しておきま
す。
私は「原子力発電所の運転」(現場でのバルブ操作、
機器保守パトロール等現場業務と中央操作室での運
転操作業務)の経験がありますので、ある程度の事は
知っているつもりです。しかし、これ以外の事につい
ては、ニュースで聞いた程度しか解らないのが現状で
す。他の電力会社の実情等は正直言ってよくわかりま
せん。
以下の文章については、そういう経歴の人間が書い
た事だと認識していただきたいと思います。
■「原発は地震で本当に大丈夫か、決して大丈夫で
はありません。」
耐震設計で固い岩盤の上に建設されているので安
全だというのは机上の話だという事ですが、これは確
かに机上の話です。
そもそも設計というモノは机上で行われますので、間
違っていないでしょう。ですが、机上で充分に検討さ
れたものな訳です。その設計は信頼に値すると私は
思います。
また、設計がキチンとしていれば大丈夫だが「施工
が悪くては意味がない」という話については私も賛同
します。
ただし、そこで「地震がきたら決して大丈夫ではあり
ません」と断言するのは誤りだと思います。
実際耐震設計のされたものが、同時に「施工が悪
い」とは断定できないのが現状です。
本当に施工が悪いのかどうかが問題になりますが、
モノを作った時にはかならずキチンと出来ているかを
検査しますので、設計通りになっていない可能性は低
いと思います。
■「素人が造る原発」「現場にプロの職人が少な
く、いくら設計が立派でも、設計通りには造られて
いない」
これはかなり偏った見方だと思います。
設備は設計された設計図面通りに施工されるのが普
通ですし、施工管理も行っています。
考えてみてください。施工チェックの記録簿には自
分が確認したという署名が残るんです。後で何かあっ
たらチェックした自分が責任を問われる訳です。普
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通心配になるでしょう?
常識で考えてもちゃんと確認するのが当たりまえで
す。従って設計どおりに造られない確率はかなり低く
なると思います。
■「原発にしろ、建設現場にしろ、作業者から検査
官まで総素人によって造られているのが現実」
これは根本的に話がおかしいと思いませんか?
この文章を書いた工事管理を行う現場監督であるご
本人は素人では無い訳ですよね?
ちゃんと現場監督にはそれなりの方が就いていると
いう事が証明されているのではないでしょうか。
若い監督も確かに居ますが、「総素人」は言い過ぎ
だと思いますが如何でしょうか。
というか、建屋の電球の交換とか、そういったちょっと
した作業はともかくとして、「素人に重要機器の分解点
検なんか絶対できません。」
予めやり方から解っていなければ作業自体が出来
ないわけです。だいたい構造が解らなければ分解し
た後組み立てられません。実際、経験の無い人間に
1/100mm焼嵌めカップリングの接合等は出来ないで
しょう。
従って、やはりある程度の経験者が作業に携わって
いるのは間違いないと言えると思います。
■「東京電力の福島原発では、針金を原子炉の中に
落としたまま運転していて、1歩間違えば、世界中
を巻き込むような大事故になっていたところでし
た。」
この話は正直言って「一歩間違えば」の部分が解りま
せん。針金がどのようにして大事故の引き金に成るの
か想像できますでしょうか?
どこをどう一歩間違えても「世界中を巻き込むような
大事故」に進展する事は考えられないのですが。
こういう書き方をするならば、「針金がどこをどのよう
にすると大事故になるのか」を説明する必要があると
思いますがどうでしょうか。
■「現場に職人が少なくなってから、素人でも造れ
るように、工事がマニュアル化されるようになりま
した。」
マニュアルというのは作業手順に漏れが無いよう確
認できるようにした作業要領書を作るようにしたと言う
事です。適正な作業手順、作業項目を明文化する事
で正しい作業ができるようにしたものです。過去の失
敗を繰り返す事が無い様にしたものです。
よっぽど構造が簡単なモノ、例えばスタンドミラーな
んかを買ってきた時は説明書を見ないで組み立てち
ゃうかもしれませんが、ちょっとした高性能のパソコン
デスクを組み立てる時なんかだと、簡単そうでも組立
図面を見ながら作りませんか?
仮に図面に番号が振ってあったとして、その通りに
組み立てるだけだとしても、左右が正しいか、サイズ
のあった部品を使っているかを確認しますよね?
確認しながら造るから変に試行錯誤することなく、当
初の完成図どおりのモノが組みあがるわけです。
だからマニュアルによって「組み立て間違い」が減る
のは間違いないと思います。
■「原発の作業現場は暗くて暑いし、防護マスクも
付けていて、互いに話をすることも出来ないような
所ですから、身振り手振りなんです。」
これも非常に誤解を招く局部的な話です。
ニュース等で報道されるシーンは殆どが事故時の映
像なので防護マスクをつけた映像なんかがよく流れる
わけですが、防護マスク着用の必要がある場所は本
当に極一部だけです。
また、昔ながらのゴムで密着するタイプに代わって、
近年ではフードマスクと呼ばれる、透明な窓の付いた
ビニールカバーで頭をすっぽり包み込んで、そのカ
バーにポータブルの送気ユニットからフィルターを通
して空気を送るというタイプのマスクが使用されていま
す。これだとカバー越しに会話ができるので普通にコ
ミュニケーションが取れます。
■「細かい仕事が多い石油プラントなどでは使いも
のになりませんから、だったら、まあ、日当が安く
ても、原発の方にでも行こうかなあということにな
ります。」
正直私は溶接工の方々の経歴を知りませんので、も
しかしたら本当にこのような話もあるのかもしれません。
しかし、もしそうだったとしても、原子力設備で自分の
仕事が原因でトラブルを起こしたらシャレにならない
事は誰もが知っています。
手抜きする人や技能のない人を受注会社が出してく
るとは思えません。
「○○ 建設が施工した原発で、手抜き工事が原因で
事故が起きた」なんて事になったら、会社の信用を一
気に失ってしまうわけですから。
また、耐圧試験等によって実際に漏れたり壊れたり
割れたりしない事を確認してから使用するので、さほ
ど問題は無いかと思います。
■「素人が造る原発ということで、原発はこれから
先、本当にどうしようもなくなってきます。」
原発が素人だけで作れる程簡単なモノでは無い事
は容易に想像できると思います。
確かに新人は素人かもしれませんが、どこの業界で
も新人と言うのは素人なモノです。
私だって様々な研修や訓練、実作業をすることで現
在の技能を身に付けたわけで、発電所に来た当初は
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「管理区域には鉛の放射線防護スーツを着て入るもの
だ」等とすっかり素人考えを持っていたんですから。
素人も現場で経験を積んで、玄人になっていくんで
す。その辺を間違えないようにして欲しいと思います。
■「メーカーや施主の説明を聞き、書類さえ整って
いれば合格とする、これが今の官庁検査の実態で
す。」
出来たものがキチンと動く事を確認しなければ、製
品に対して支払いできるわけ無いです。
そういう意味ではみなさんが家電品を動作試験せず
に買ってきて、動作しなかった時点で初めてクレーム
を出すのと違って、プラント設備はスペックを満足する
事を確認してから支払いをしますから、より確実に商
品を購入していると言えるかもしれません。
■「運転管理専門官は素人で、「実は恥ずかしいん
ですが、まるっきり素人です」と、科技庁(科学技
術庁)の者だとはっきり名乗って発言した人がいま
した。」
これは正直言って、私には真偽が解りかねます。
残念ながら私には専門官に知り合いは居ませんの
で、直接話を聞く機会がありません。
さて、それはそれとして、話の方向性が変わります
が。
常識で考えてです。
普通、「科技庁(科学技術庁)の者」が自ら講演会で
「まるっきり素人です」と「会場から発言」するものでしょ
うか?
たとえ本当にそうだったとしても、『「昨日まで養蚕の
指導をしていた人やハマチ養殖の指導をしていた人
を、次の日には専門検査官として赴任させた。」「美浜
原発にいた専門官は三か月前までは、お米の検査を
していた人だった」と、その人たちの実名を挙げて話
してくれる』モノでしょうか?
常識で考えて、これを実行したら下世話な話ですが、
言った本人、科技庁から締め出されてしまうと思いま
せんか?
はたして「自分の職を追われて」まで、「講演会の会
場」で、そのような発言をする「お役人」が居るでしょう
か?
今現在「運転管理専門官」をしている人がこういった
発言ができるのかどうか。
私は「本当かなぁ・・・」という印象を受けるのですが。
正直よくわかりません。
■「東京電力の福島原発で、緊急炉心冷却装置
(ECCS)が作動した大事故」
これは1992年に起きたトラブルですね。
原子炉に給水するポンプが予備機の点検による誤
信号によって全台停止してしまい、給水が止まった結
果、原子炉水位が急低下したので、原子炉が自動停
止し、蒸気が出るのを止める為に原子炉が隔離され、
ECCSの一つである高圧注水系によって別系統から給
水、水位を回復したというものです。(公式発表より)
個人的には給水喪失は「事故」と言って良いと思いま
すが、後述のINES国際尺度に則って業界では「異常
な事象」と言ってます。
このケースでは設計どおりに原子炉は緊急停止もし
ましたし、水位が通常より下がったので原子炉の自動
隔離もされました。そして設計通り高圧注水がなされ
て水位が回復したという事から、たとえ「事故」が起きて
も原子炉の健全性を保護するシステムがキチンと動作
して原子炉は無事だったという、安全系設備が妥当で
ある事も示しているのではないかと思います。
海外の爆発事故のようなモノは「大事故」と言いたく
もなりますが、保護系の正常なインターロック動作を
「大事故」と表現するのは、ちょっと言い過ぎかなぁと
思います。
この場合は設計範囲内で『予定通り放射能漏れ事故
を防止できた』と言えるので、『大事故』とまでは言わな
くてもいいと思います。個人的には『外部環境に放射
性物質が漏れた』という事態が「大事故」なのではない
かと思います。
■「電力会社の人は専門官がまったくの素人である
ことを知っていますから、火事場のような騒ぎの中
で、子どもに教えるように、いちいち説明する時間
がなかったので、その人を現場にも入れないで放っ
て置いた」
これは違うと思います。
これだけのトラブルだと確かに現場は火事場のよう
な忙しさで、単純に連絡担当者が明確じゃなかったか
何かで連絡漏れしたのではないかと思います。でも、
わざわざ「説明が面倒だから連絡するのやめとこー
ぜ」とはならないですよ。だって、あとあと面倒じゃな
いですか?
常識で考えてです。お役人に連絡が遅れたとなって
は後々大変でしょう?
従って「素人だから知らせなかった」というのは間違
いだと思います。
また、個人的には何で『現場監督がそのへんの事情
を語れるのか?』の方が不思議です。現場担当者が
知る由も無い話だと思いませんか?
■「原子力検査協会の人がいます。この人がどんな
人かというと、この協会は通産省を定年退職した人
の天下り先ですから、全然畑違いの人です。」
まず大前提として『原子力検査協会』という協会は
存在しないのですが・・・
正直私も初耳だったので「そんな協会を実際に原子
力発電所に勤務する自分が知らないなんて、そんな
バカな!」と思って思わず検索してしまいましたが、検
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索結果は問題の文章だけでした。
とりあえず、ニュアンスの近い物を探してみると
(財)原子力発電技術機構か(財)発電設備技術検査協
会あたりがありますが、これらは決して「素人」の天下り
先じゃないと思います。(ちなみに発電技検について
は原子力専門機関じゃないですね。)
機関が存在しない事を知らずに「そんな素人の機関
が見てるのか」とお考えになってしまった方は、もう少
し「本当なのか?」という事に注意して読まれるべきだ
と思いますよ。
■「原発の事故のことも電力会社ではなく、メーカ
ーでないと、詳しいことは分からないのです。」
確かにそういった側面はあるでしょう。
トラブルが起きればもちろんある程度は電力会社の
内部で原因を追求して、原因とそれに対する対策を決
定するでしょう。
ですが、トラブル発生の原因となった設備の故障原
因や、故障メカニズムはやはりメーカーの工場設備で
分析しなければわからないでしょう。
みなさんだってテレビが煙を上げたら火災を防ぐた
めに、コンセントを引き抜いてとりあえず安全を確保し
て、それからメーカーに修理に出すでしょう?
プラントだって同じです。トラブルがあれば、まずは
原子炉を安全に保護し、必要ならば設備の停止操作
を行って、安全を確保してから、壊れた機器について
メーカーに確認を依頼します。
なので、これはそれであっていると思います。
■「私が関わった限り、初めのころの原発では、地
震のことなど真面目に考えていなかったのです。」
これは逆に問いたいと思いますが、ではなぜ初期の
原発である日本原電東海1号機や東京電力福島第一
原発の1号機、関西電力の美浜原発1号機の建物が
耐震設計の施された造りになっているのでしょうか?
地震国である日本に原子炉を設置するという段階で、
初期から原発の耐震設計にはかなりの注意が払わ
れています。
だからこそ建物だってわざわざ地表の土を取り除い
て大地の岩盤面に基礎を作っているのです。
ですから、初めのころの原発から、ちゃんと地震の事
は考えて造られているのは間違いありません。
ただし、建設初期からすると現在は地震についての
研究が進んで、いろいろな新しい見解が出ているの
は事実ですので、現在に比べれば建設初期の段階で
はわからなかった事もあっただろうと思います。従って
古いプラントは当時の知見で設計されていますから、
その後の新発見については検証をしながら対処する
必要があると思います。
■「女川原発の一号機が震度4くらいの地震で出力
が急上昇して、自動停止したことがありましたが、
この事故は大変な事故でした。なぜ大変だったかと
いうと、この原発では、1984年に震度5で止まる
ような工事をしているのですが、それが震度5では
ないのに止まったんです。」
震度4で停止した原因は制御棒と燃料棒が揺れた事
による原子炉出力の振動によって、出力が高くなった
時に緊急停止設定値に引っ掛かったというものです。
(公式発表より)
わかりやすく言うと、「高速道路を運転中、ブレーキ
を踏まないのに、突然、急ブレーキがかかって止まっ
た」のではなく、「突然エンジンの回転が上がったり下
がったりし始めたので、安全のためにリミッターが動
作して燃料供給が止まり、エンジンが動力運転を停止
した」と言えます。
高速走行中に急ブレーキがかかったら危ないです
よね? スピンしたりするかもしれませんし、運転者だっ
てビックリします。
でも、原子炉が緊急停止したからと言ってスピンする
ような危険な事は無いわけです。核反応が止まるだけ
ですから。「ブレーキがかかる」と言うよりは「燃料供給
が止まる(アクセルから足が離れた)」という表現の方
がより近いと思います。
という事で、これは誤解を生む表現だと思います。
それから、これもちょっと考えて戴きたいんですが、
「なにも原因が無いのに原子炉が緊急停止する」はず
が無いです。
停止するからには停止する原因が必ずあります。
今回は前記の理由で原子炉出力が一時的に上昇し
たから止まったわけで、正しい動作です。
ですが、設定値5のところ4で止まったというのは確
かに設定がずれていた事になるわけですから「5では
止まらない可能性もある」という話はある意味ありえま
すし、いろんなことが設計通りにいかないということの
現れという事も確かにできると思います。
ですが、まず大前提として知っておいて戴きたいの
ですが、原子力設備は常に安全側寄りの設定をされ
ているということです。
震度5で動かない危険があるのならば、設定値がそ
れほど正確に設定できないのであれば、震度4寄りの、
より安全な設定を行うものです。
『圧力74キロで原子炉緊急停止信号が出る』という設
計を満足する為には計器誤差を考慮して、73.8キロく
らいで停止するようにセットしたりします。
従って、設定値よりも安全側で動作する事は充分あ
り得ると言うことです。
やはり怖いのは上記のように「震度5でも止まらな
い」事な訳ですから。
というわけで、4で止まった事についてはそれほど問
題視する必要はないのではないかと思います。逆だ
ったら大問題になりますが。
■「原子炉には70気圧とか、150気圧とかいうも
のすごい圧力がかけられていて、配管の中には水が、
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水といっても300℃もある熱湯ですが、水や水蒸気
がすごい勢いで通っていますから、配管の厚さが半
分くらいに薄くなってしまう所もあるのです。」
ここで予備知識を一つ。
火力発電所の運転蒸気圧力は246気圧。蒸気温度
は538度。さらにタービン発電機の回転速度は原子力
の2倍の3000回転です。
原子力発電所は原子炉の核燃料を保護する為に、
比較的低い圧力と温度で運転されているのです。だ
から熱効率が悪いという問題もあるのですが。
というわけで「70気圧」でも確かに十分高いかも知れ
ませんが、「ものすごい圧力」と言うのは言い過ぎじゃ
ないでしょうか。火力の超超臨界圧ボイラーに笑われ
てしまいます(泣)
というわけで、原子力発電所の蒸気条件は実はそれ
ほど過酷なモノでは無いんです。そのあたり、誤解し
ないようにお願いしたいです。
■「その現場が20分間作業ができる所だとすると、
20分経つとアラ-ムメーターが鳴るようにしてあ
る。」
アラームメーターは時間ではなく、被曝する放射線
量を設定します。
従って、「20分経つと鳴る」のではなく、「規定の線量
被曝すると鳴る」というのが正しいです。
■「ですからネジを対角線に締めなさいと言っても、
言われた通りには出来なくて、ただ締めればいいと、
どうしてもいい加滅になってしまうのです。」
これも考えれば解ると思いますが、締め付けをキチ
ンとやらなくて適当にしてしまって後で水が漏れたら
アウトです。
立会い検査で水が漏れた日には作業員も監督も真
っ青になります。場合によっては次回以降、仕事が廻
ってくるかどうか怪しくなるのですから。
だから、ちゃんと管理基準通りに締め付けて、漏れ
が無いように何度もチェックします。
■「ホコリ、どこにでもあるチリとかホコリ。原発
の中ではこのホコリが放射能をあびて放射性物質
となって飛んでいます。この放射能をおびたホコリ
が口や鼻から入ると、それが内部被曝になります。
原発の作業では片付けや掃除で一番内部被曝をし
ますが、この体の中から放射線を浴びる内部被曝の
方が外部被曝よりもずっと危険なのです。体の中か
ら直接放射線を浴びるわけですから。」
内部被曝は確かに怖いです。
でも、プラント内の埃が放射性かというと、もちろん違
います。普通の埃です。
また空気は通常ダストモニタという放射線計測装置
によって建屋内の空気中の放射能も常時測定してい
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ます(公開情報より)ので、どこかで放射性のダストが
舞えば、このモニタに引っ掛かります。
事実、以前配管から放射性蒸気が漏れる事故があっ
た時にはコレで放射能が検出されました。(浜岡原子
力発電所事故公開記録より)
また、内部被曝については放射線管理区域で作業
をする従事者全員がホールボディーカウンターという
内部被曝測定器で全身を測定し、異常が無い事を確
認しています。(広報誌にも明記)
特捜放射性ドキュメント企画
教えて! 美凪さんその1
早く運転再開してほしいです
「もんじゅ」は福井県敦賀市に位置する核燃料
サイクル開発機構( 旧動燃) が保有する日本で唯
一の高速増殖炉です。正式には「ナトリウム冷却
高速中性子型増殖炉」で熱出力は71 万4 千k W、
電気出力28 万k W、燃料には専用のMOX 燃料
を使用します。
平成7 年に発生したナトリウム漏れ事故とその
後の対応の悪さが祟って、それ以来ずっと停止し
たままです。もちろん事故処理は既に行われて、
今はプラントもすっかり平穏を取り戻しているよう
です。
長い間設備を停止していましたが、最近、数々
の法的手続きを経て、やっと経済産業省から事故
原因の2 次主冷却系温度計の「設計及び工事の
方法の変更に係る認可」が出されて、プラント運
転再開に向けての最終段階に入りつつありま
す。
長期的なエネルギーセキュリティーの確保を考
えるとどうしても必要になる高速増殖炉。改善を重
ねて、本格実用化に向けて頑張ってほしいです。