第三区画

【海は汚染されていますか?】
■「防護服というと、放射能から体を守る服のよう
に聞こえますが、そうではないんですよ。放射線の
量を計るアラームメーターは防護服の中のチョッ
キに付けているんですから。つまり、防護服は放射
能を外に持ち出さないための単なる作業着です。作
業している人を放射能から守るものではないので
す。だから、作業が終わって外に出る時には、パン
ツー枚になって、被曝していないかどうか検査をす
るんです。体の表面に放射能がついている、いわゆ
る外部被曝ですと、シャワーで洗うと大体流せます
から、放射能がゼロになるまで徹底的に洗ってから、
やっと出られます。」
これはその通りです。正しいです。見学施設でもこ
の現場で着るスーツを見ることが出来ますが、ナイロ
ン製ですからアルファ線以外の放射線は貫通します。
私も実際に現場を自分の目で見るまでは鉛の防護
服を着るものだと思っていたのですが、実際は違いま
した。逆に言うと、鉛の服等が必要な程放射線の強い
エリアが存在しないという意味でもあります。
また、ナイロン製のツナギ服なわけですが、これは
言われている通り、放射性物質が身体や衣服に付着
して、それが放射線管理区域外部に持ち出される事
を防ぐ為に着用するものですので、管理区域の出口
で脱衣かごに脱ぎ捨てます。見学に来られればこの
状況が見れますね。
■「防護服には放射性物質がいっぱいついています
から、それを最初は水洗いして、全部海に流してい
ます。」
これも誤った知識です。
洗濯を行った時に出る排水は専用タンクに貯蔵され、
放射能測定を行って、きちんと管理されています。測
定を行って放射能が有れば放射性廃棄物として処理
しますし、汚染のないエリアの作業服を洗っただけで、
放射能が無い事が確認された水は普通の洗濯排水と
して放水されます。(公開資料より)
これもちょっと考えれば解ると思いますが、もともと放
射性物質を人体に付着させないように、代わりに防護
スーツに付着するだけで済むようにしているのに、そ
の防護服の洗濯廃液をそのまま流すというのはあまり
にもナンセンスですよね?
防護服で放射性物質の外部漏洩を防いだ意味が無
いです。
また前述のとおり、放射能を持った水を放水すれば
放水口の放射能測定によって漏れているのがバレま
すので、垂れ流す事は絶対無いです。
-9-

■「放射能垂れ流しの海。定検が終わると、海に放
射能を含んだ水が何十トンも流れてしまうのです。
はっきり言って、今、日本列島で取れる魚で、安心
して食べられる魚はほとんどありません。日本の海
が放射能で汚染されてしまっているのです。」
この件については断固として抗議したいと思います。
どこからどうやって放射性の廃液が流れ出すんでしょ
うか?
定検中でも運転中でも廃液は処理施設に移送して
処理をしています。(広報誌にも明記)
従って、定検で汚染廃液が出た場合、処理施設の廃
液は増えますし、これを固化処理して廃棄物ドラム缶
につめるので廃棄物ドラム缶の発生量が増えるという
事はあるでしょう。
ですが、放射性廃液が海に流れ出すという事態は本
当に大事故でも無い限り絶対ありません。
もし万が一流れ出してしまったとしたら、放水口にあ
る放射線測定器に検出されてしまいます。
この放射線測定データは、公開情報ですから隠し立
てなんかできません。
また、実際問題がないかどうか農畜産物や海産物な
どを定期的に採取して放射性物質の量を調べていま
す。ここでも運転中定検中を問わず異常は見つかって
いません。(広報誌にも明記)
放射能廃液が漏れれば、もちろん放水口付近の放
射能が上がります。上がってしまったら、これはかなり
大々的な除去作業を行わない限り除去できませんよ
ね。従って実際に漏れれば比較的長期間、放水口の
線量計の指示が以前に比べて上がりっぱなしになっ
てしまうわけです。
誰が見ても放射性の水が漏れた事がわかってしまい
ます。
つまり放射能漏れは隠せないという事です。
JCO の時もそうでした、JCO で事故が起きた時、原
子力研究所周辺にあるモニタリングポストはその異常
な放射線を克明に記録しています。
放射線は目には見えませんが、計器に検出されるの
を隠す事が出来ません。
隠したところで放射線は少々の物なら貫通して出て
きてしまいますから、測定されたら一発で見つかりま
す。それこそ原子炉建屋のようにきちんと遮蔽しない
限り(もっともそこまで遮蔽すれば管理されていると言
えてしまうかもしれませんが)、外部で検出されてしま
います。
放射線というのはそういった性質のモノなんです。
だから漏らさないように細心の注意を払っていますし、
100%バレる事が解っているのにわざわざ故意に隠れ
て漏らそうなんて事はする理由がありません。
その点だけは、どうかご理解戴きたいと思います。
だいたい「日本列島で取れる魚で、安心して食べら
れる魚はほとんどありません。」という程であれば、もっ
とニュースになって然るべきだと思いませんか?
狂牛病であの騒ぎです、それが日頃食べる近海の
魚が汚染されているのだとしたら、シャレにならないパ
ニックになってもおかしくありませんよ。
漁業問題としてもっと大々的に取り上げられてしかる
べきでしょう。
中には「パニックを恐れた政府の悪徳役人がマスコミ
に圧力をかけて隠しているに違いない」等と勘ぐる方
もいるかもしれませんが、その政府の役人にしても刺
身を食べたりしてますよね。
原発職員の自分だって地元で採れた魚を食べてま
す。
つまりはこの「放射能垂れ流しの海。」という話は明
らかに間違っていると言う事です。
私の話の方がウソだと思われるなら、実際に放射線
計測器を借り出して普段食べている魚の線量を計って
見ればいいんです。絶対問題ないレベルですから。
この時点でこの方の文章がかなりの偽証を含んでい
る事が証明されたのではないかと思います。
■「海に放射能で汚れた水をたれ流すのは、定検の
時だけではありません。原発はすごい熱を出すので、
日本では海水で冷やして、その水を海に捨てていま
すが、これが放射能を含んだ温排水で、一分間に何
十トンにもなります。」
これはタービンの排気蒸気を冷やす循環水のことを
言っているわけですが、タービン発電機を使用する発
電所では火力原子力を問わず、確かに温排水として
水温が上がった海水を放水しています。
ですが、原子力発電所のこの排水は特に放射能汚
染などはされていません。
だいたいにして海水は冷却チューブの中を通って
いますから直接蒸気と触れる事がありません。
従って、放射性物質が海水に混入する事はあり得な
いんです。
また、頭の回転の良い方は「ではもし冷却チューブ
に穴が開いたら漏れ出すだろう」と思われるかもしれま
せんが、この点については実は逆の事態になるんで
す。排気蒸気を冷却凝縮する復水器は内部が蒸気の
急激な凝縮によって真空状態になっています。です
から冷却チューブに穴が開いた場合、海水に蒸気が
混入するのではなく、復水器内に海水が漏れ混みま
す。(玄海広報記事より)
従って、たとえ穴があいても海水に放射性物質が混
入する事はありません。
また先程も書いたとおり、排水に放射能が含まれて
いれば、放水口モニタで検出されますので、やはり県
町にバレます。
■「排水口で放射線の量を計ると、すごい量です。」
これについては本当に放水口の放射線の量を知っ
ているのかと小一時間問い詰めたいくらいです。
中部電力の浜岡原子力発電所では毎日のデータが
-10

公開されています。
http://www.chuden.co.jp/hamaoka/DETAIL/state.html
で確認できます。
(浜岡原子力発電所の例)
このとおり、だいたい10cps弱程度です。一秒間に
10パルス程度の放射線を検出する量という意味です。
この量は自然界にある線量に比べて特に多い量では
ありません。従ってこの文も明らかに誤ったものと言え
ると思います。
■「「私はいままで原発のことを知らなかった。今
日、昆布とわかめをお得意さんに持っていったら、
そこの若奥さんに「悪いけどもう買えないよ、今日
で終わりね、志賀原発が運転に入ったから」って言
われた。原発のことは何も分からないけど、初めて
実感として原発のことが分かった。どうしたらいい
のか」って途方にくれていました。みなさんの知ら
ないところで、日本の海が放射能で汚染され続けて
います。」
これこそが私が最も嫌うところの風評被害以外の何も
のでもありません。
先述の説明から原子力発電所から放射性廃液は漏
れていないとお分かりいただけたと思います。
にもかかわらずこのような差別が行われるのは何故
か。
それはこの文章のような誤った知識が平然と流布さ
れている為に、多くの人が誤解を余儀なくされている
からに他ならないと思います。
実際、この海水が汚染されるという話はあちこちで耳
にします。
つまりそれくらい誤った知識が広まってしまっている
という事です。
この誤った知識によって不当な差別が行われている
わけです。
JCO の時もそうでした。あの時だって、放射線は出ま
したが、放射能汚染は広がっていなかったんです。だ
から農作物なんか何の影響もありませんでした。でも
差別によって多くの食糧が事実上廃棄されました。
あの時、私はとても悲しかったです。ちょっと勉強す
れば解る事なのに、NHK以外の視聴率を狙った誤解
を招くような内容のニュース報道で煽られるままに、な
んの検証もせずにただ拒絶する一般の人々に怒りに
似たモノを感じました。
そんな事もあって、原子力発電所に対する誤解を解
きたいと思うんです。自分が見知っている現状をキチ
ンと説明して少しでも無意味な差別を無くしたい、ひ
いては自分も差別されないようになりたいんです。
そんな事を考えてこんな本を書いたり、ホームペー
ジを運営しているという事は、参考までにでも知ってい
て欲しいかもしれません。
ええ、話が横道に逸れすぎましたので修正します。
特捜放射性ドキュメント企画
教えて! 美凪さんその2
実はちゃんと進んでいるんです
核燃料リサイクル計画はサッパリ進んでないと
か、リサイクルは実現不可能だからやめてしまえ
とか、いろいろと後ろ向きな話が多いのですが、
実は遅れ気味ながら、リサイクルの要である再処
理施設の建設は着々と進んでます。
平成14 年6 月時点の建設工事進捗状況は全
体で87 %。そう遠くない未来に国内で核燃料の
再処理、リサイクルが可能になる見通しです。
それから核燃料リサイクルは使用済み燃料のう
ちウランとプルトニウム併せて2% しか有効利用で
きないと大々的に宣伝している方が居ますが、核
燃料の燃える部分というのはもともと僅か4% なの
で、2%= 燃える成分の50% が回収可能という事
になります。また、残りの燃えないウラン238 も9
5% あって、これもまた再生燃料を作るのに使用
されるので、実質全体の97% を新たな核燃料の
原料として使用できるのです。
廃棄物も残りの3% だけになるので廃棄物低減の
意味からも核燃料リサイクルは進めるべきではな
いでしょうか。